9月26日 1


旅をし尽くしている添乗員さんをして、「イギリスで一番長逗留がしてみたいと思う」といわしめた、ストラトフォード・アポン・エイボンを訪れた。

今日も寒い。日本を発つときは気温30度だったのだから仕方ない。

しょっちゅう雨が降ったりあがったりしているが、雨があがると犬たちがあちらこちらから飼い主さんと一緒ににニコニコ顔で出てくる。飼い主さんの顔もニコニコだ。
アン・ハサウェイというシェイクスピア夫人として有名な人の生家を見学する前に、近くのトリニティー教会へ行く。途中川沿いの公園のベンチで読書をする婦人がおり、その前にはノーリードのゴールデンが2頭のんびりとやっとさしてきた薄日をあびて座っている。わたしが通りかかるとすっと1頭が立ち上がってわたしのところへ歩いてくるとしきりに匂いをかぎ始めた。
「Oh,lovely!」というと
「Do you have a dog in your country?」と聞かれたので
「Yes,same bleed!」というとやっぱりね、と言う顔で微笑んでくれた。
一瞬Sindyを思い出して胸に甘酸っぱい気持ちがこみ上げてくる。


ストラトフォード・アポン・エイヴォンは河の上の街のように見える。
河の名前はエイヴォン河という。そしてエイヴォンとは河のことなのだ。

 
エイヴォン河、そしてシェイクスピアの銅像。
 
シェイクスピアの銅像の台座の飾りとまわりを取り囲む銅像の一つ。

トリニティ教会はシェイクスピアが葬られている教会である。
庭にはリスが多く戯れていて、イギリスのお墓につきものの、名前のわからない愛らしい
赤い実のなる木が植わっている。

 
このはしっこいリスをボートから飛び降りてきたジャックラッセルテリアの女の子が
狙っては逃げられていた。右の木の実はロウでできているような感触。
味は「terrible」 だそうだ。イギリスのお墓につきものの木だそうだ。

 
教会の手前の小道でこんなものを発見。ビビアン・リーの死後、彼女のために植樹されたすずかけの木。

 
ほどなくしてわたしたちはこの教会のチャイムが華麗に打ち鳴らされるのを聞いた。


ロイヤルシェイクスピア・カンパニーの本拠地


ロイヤルシェイクスピア劇場にゆかりのある方の住居


車で飼い主を待つボーダーコリー

 

9月26日 2


10時の教会のベルを聞いたわたしたちはアン・ハサウェイの生家へと向かった。
ヴィクトリア様式の典型的な建築様式と見事なわらぶき屋根。
イギリスも日本と同じで屋根を葺く職人が減り、保存に苦慮しているようだ。
中に入るのに並ぶ。
「Queue here」と書いてある看板のところから並ぶ。
日本人も辛抱強く並ぶほうだが、イギリス人もよく静かに並んでいる。
庭はイングリッシュガーデンになっていて、奥のほうから背の高い植物が植えられており、
じょじょに手前に向かって背の低い植物になっている。
一番手前はすぐに使うことができるように、いろいろなハーブが植えられている。
エキナセアの花もきれいに咲いていた。すでにかなり気温は低かったが夏の名残の最後を飾る花たちが、まだ咲き残っているのだ。

建物の中は当時の生活がほとんどそのまま再現されている。かなり補修されているが、床だけは当時のままだということだ。中の撮影はできないので、お見せできないのが残念である。
羊の毛を刈る部屋や食べ物を保管する部屋、食堂、寝室、子供部屋などが12部屋もあり、かなりの豪農であったことがうかがわれる。


見事な藁葺きの屋根が美しい


雑然としているようで計算されているイングリッシュガーデン

 

続けてシェイクスピアの生家をたずねた。

 
シェイクスピア協会の建物が合体して建てられているので、
中からは 一軒のお家に
入ったような気がしなかった。
シェイクスピアの家もリッチである。


美しい町並み

 
と、そこへひづめの音が響いてきたかと思うと、馬車が通った。

 
古いレストランで魚料理を食べたが印象は薄い。


9月26日 3


古くて不便でラブリーで斬新な国イギリス。
緑が多く、花は美しく手入れされている。
ウィークデイはロンドンの都心で過ごし、仕事が終わると金曜日の夜から週末にかけては田舎やロンドン近郊のセカンドハウスで過ごす人達が多いのだそうだ。車の渋滞は主にその移動による。

コッツウォルズとはまた違った意味でオクスフォードの町は別世界だった。
実はわたしが一番惹かれたのはこのオクスフォードの町並みかもしれない。
街は中世のまま。目の前に14世紀に立てられた建物と15世紀に建てられた建物、18世紀に建てられた建物が一堂に並んでいて、それを一度に眺めることができるのだ。
もし日本に地震がなく、戦争による空襲もなかったら、今でも日本人は美しいものをもっとたくさん保持できていただろうか。


これはクライスト・チャーチ。この中の大食堂は「ハリー・ポッターと賢者の石」の撮影に
一度だけ使われている。
教会を中心として増築するような形でたくさんの大学が建造されている。
そして必ず中庭がある。中庭の数だけでも100を数えると言うから驚きだ。

 
左の建物はかなり古い。窓のつくりが粗雑なことでそれがわかる。
オクスフォードのメインストリート。なにかお土産を買いたかったのだが、ここで許された時間は
なんと15分であった。コーヒーをのむことすらかなわず。

 


左に見えるのはボドリアン図書館。右のドーム型の建物はその分館。
オクスフォードゆかりの人たちの名前が頭に浮かんでくる。
ルイス・キャロル、J.R.R.トールキン、ウィリアム・モリス・・・・そして歴代の首相たち。

 
当日ケンブリッジ出身という上流階級の現地ガイドさんの口利きで、
教会の一つに入れてもらえることになった。
ステンドグラスがすばらしい。人物を撮らなければ内部の撮影もOKがでた。
このパイプオルガンを撮り終えた時、誰かが練習でG線上のアリアを弾き始めた