イギリス帰り

 

9月24日


ひとみしりなくせにおしゃべりなわたしが、イギリスまで一人で旅をすることになった。
4年ぶりのイギリスである。

家族は夫に長女、長男、Sindyと4匹の猫たち、鳥、金魚。
いざ出発となるとわたしの双肩に家族の精神生活と動物のケアが、ずっしりと重くのしかかっていたことに気が付く。
昨夜は何も知らないSindyがちょっと不憫になり気持ちがぐらついた。
寂しい思いをするだろうな。年をとって甘えん坊になったから。
Sindyを置いて長い旅行をするのは、今年を最後にしようと思う。

空港で飛行機がでるまでの時間、ヴァージンアトランティックのチェックインを済ませてからしばらく時間があった。今回のツアーの人数はたった11人と聞き驚く。ロシアでの飛行機爆弾テロ後、キャンセルが多く出たらしい。直前でさらに2人のキャンセルがでて、11人になったそうだ。それでも催行してくれるのだからありがたい。まとまりのよい楽しい旅になるかもしれない。

ぼんやりと成田の風に吹かれていると、目の前を重たそうにキャセイパシフィックが飛び立つ。ややあってJALが力ずくでいずこかへ飛び立った。ヴァージンの飛行機もスタンバイしている。出発は26番ゲイトから。
これから12時間の難行苦行が始まる。
食べるか寝るか映画を見るかトイレに行くか音楽を聴くか。そのすべての繰り返しだ。
映画は「The Day After Tomorrow」、「Peter Pan」(途中で投げる)、「モナリザスマイル」、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(英語版)」を見た。モナリザスマイルは2003年の映画でジュリア・ロバーツ主演。共演のキルステン・ダンストが田舎くさくて良かった。ハリポタはもちろん日本で見ていたが、他に見たいものがなかったので選んだ。しかし英語が全くといってよいほど聞き取れない。これから先が思いやられる。
ちなみにヴァージンのフライトアテンダントさんは全く日本語を話す気持ちはなく、何度も同じことを英語で繰り返しながら笑顔のまま、だんだん怖い言い方になってくるのだった。

ヒースロー空港に着いた。うれしい。上空の雲の間から田園風景ときれいな町並みが見えてきたとき、日本の上空にさしかかったときに見える景色はどんなものだろうかと思った。
寒い。この日の最高気温は15度と聞かされる。手荷物の中に用意しておいたジャケットをはおり、首には小さなスカーフを巻きつける。ホテルへのバスを待つ間に回りを見ると、飲み物の自販機と並んでチョコレート(キャドバリー)の自販機が目に付く。イギリスの人がそういえば、オフィスにはチョコレートの自販機は欠かせない、と言っていた。男の人たちもチョコレートを食べるのが大好きなんだそうだ。
のちのちもこのチョコレートの自販機をあちらこちらでみかけ、そのたびに「チョコは欠かせない」と言ったイギリス人を思い出していた。

その夜は、一人ではちょっと気後れして入りにくいパブに添乗員さんに連れて行ってもらう。わたしと添乗員さんの他に、今回のツアーに母娘で参加しているNさん2名の計4名で軽く食事をすることになった。残念ながら全くといってよいほどお酒の飲めないわたしは、どうにかこうにか「シャンディ」というレモネードをビールで割ったものを半パイント(一番少ない量)頼む。
それでも十分小ジョッキの大きさ。
それから名物のフィッシュ&チップス。これはやっぱりおいしかった。4人で一皿を分けるので充分。それでもたっぷりある。本当にイギリス人はこれを一人で食べるのかな。


パブの賑わい。
TVはもちろん地元のフットボールチーム、チェルシーの試合を写している。

フォークを3つもらいに行くと「一人分頼んだあのテーブルでしょう?え?4人で分けるの?」と驚かれる。
もっと注文しないかと何回も言われたがわたしたちには「enough」であった。
パブのお姉さんはフレンドリーではあったがコックニー訛りの早口で聞き取りにくかった。

一日目のホテルは「チェルシーヴィレッジ」といってチューブのフルハムブロードウェイ駅から徒歩5分の4星ホテルで浴室の床には暖房が入っており、アメニティグッズも充実していて、心地よいホテルだった。

 
イギリスまで連れてきたSindyぐるみ。いつの間にかBFまでみつけてくるとは。
そのことはまた後の日記で。