Dover
9月30日
雨が激しく降ったりやんだり。バスを降りる頃には雨は止んでいた。
グレーにブルーの水彩絵の具を溶いたような空の色。
ドーヴァーの港である。丘の上にほんのり見えるのはドーヴァー城。
真っ白な石灰石のがけの上にたつ城で、ここからフランスに渡る前に王族が一休みをした城である。もちろんヘンリー8世もこここに泊まった。
降りて砂を踏み、忘れないように足の裏に感じる。
「晴れていたらならここからフランスが見えるの?」とガイドさんに尋ねると
大阪弁なまりのイギリス人ガイドは首を振った。
なんだどちらにしても見えないのか・・・
がけは本当に真っ白でWhite cliffと呼ばれている。
おじ様、良い味出してます。
日本以外の国ではじめて触れる海。
見えるようで見えないような、やはり見えないフランス。
かもめも同意。
そっとしゃがんでドーヴァーの海岸で小さな石を一つ拾った。
次はいつこられるかわからないもの。
軽石のような小さな石。バッグにそっと入れた。
多分ユーロスターが出来たので、フェリーでフランスに渡る人も減り、小さなホテルの客足も遠のいたのだろうな。
梅干の種のような小さな石。磯の香りはあまりしない。
ドーヴァー城へはヴィクトリア駅から電車で一日かけてもう一度行きたい。
崩れた城の石の肌に触りたい。