パリの印象2

一日中自由行動、つまりうっちゃらかしの日。
夫からマルセル・ラッサンス(パリのカジュアルな洋服屋さん)をのぞいてコーデュロイのパンツを見てきて欲しいと頼まれ地図まで渡されていた。夫はどちらかというとパリが大好きなくちだ。
朝、ホテルのカウンターで頼んでタクシーを呼んでもらう。
サンジェルマン・デ・プレに用がある、やはり母娘でツアーに参加している家族と一緒に乗ることになった。
先にホテルの人に料金を確認してもらって乗ったにもかかわらず、降りる段になって、規定の3人より一人多く乗せたから割増料金をよこせ、と言われた。誰も言い返す言葉ができず、やむなく支払う。
もうすでに十分パリがいやになっていた。

地図を片手にいろいろなところをまわるつもりだったが、どこをどうまわったか覚えていない。
町並みは美しく、どこを歩いていても気持ちが良い。
古い建物はそのままに、中だけ何回でも直して素敵に使っている。歴史と文化はフランスの誇りなのだ。

ウェディングドレスを並べたお店が後ろに見える。
天気の良い、散歩日よりの一日だった。歩きながらきままに買い物をした。
わたしがMonoprixの袋を提げているので、すでにこの大きくておしゃれなスーパーに寄ったあとだ。
ここでもおいしいビスケットやジャムなどおみやげになりそうな日曜品を買った。娘はシンプルなカフェオレボールを買った。しかしここでも嫌なことがあった。
Monoprixは地下にあり、1階にはブティックと化粧品のお店があったが、娘が口紅を一本選び、レジに持っていったところ、店員の目の前に口紅を置いていたら「くださいな」と言っているのと同じことなのに、娘を無視し続けていつまでたってもそっぽを向いたままお勘定をしない。
見ていてきれた。「Si'l vous plait!!」と口紅をカウンターにカンッと音を立てて置きなおした。
あわててお勘定をしてくれたが、やはりパリは嫌いだ。
フランス語を話さざるもの人に非ず?

お腹がすいて入ったレストランは石の壁と壁の間、小さな扉の奥の中庭にあって、とても素敵だった。頼んだキッシュにはグリーンサラダがふんだんに添えてあって、満足。
マダムの愛犬が中庭でおもちゃをくわえて遊んでいた。
そのあと、ふと立ち寄ったお菓子屋さんで買ったメレンゲの焼き菓子がまたとってもおいしくて、娘と二人街を歩きながらぱりぱりと食べた。
オルセー美術館へも行くつもりが、もう疲れてしまい、ホテルにひきあげることになったが、帰りのタクシーがまたくせものであった。多くは語りたくないが、超感じが悪くて不親切だったことだけは確かだ。

カルフールの1階のケーキ屋さんで夜のデザートを買う。これもおいしかった。
そして念のために同じフロアの本屋さんやペットグッズショップなども覗いて見た。
地下に降りて汚い店内を再び見、ミネラルウォーターを買って帰る。

ちなみにこの時期のフランスはバカンスの季節で職人さんたちも休暇中のため、どこのお店も品物が少なく、
また次の季節の商品もでまわっていないため、夫のコーデュロイのパンツは買うことができなかった。
旅行にもショッピングにもあまり良い季節ではなかったかもしれない。